3年以内で80%の人が辞めるといわれる美容師。そんな離職率の異常なまでの高さの理由の1つは、残業代無しの長時間過密労働が当たり前となっている業界風土です。現在、美容師・理容師ユニオンが交渉している事案でも、そんな異常な業界風土の弊害が明白です。
 
1年間の勤続で60万円を超える違法な未払い賃金の発生

 現在、美容師・理容師ユニオンは、組合員のSさんの未払い賃金の支払いを求めて株式会社トータルビューティーサポートと交渉中です。
 
Sさんは2017年3月に美容師の専門学校を卒業し4月から当社で働き始め、5月には休職に入りますが、その約1年で60万円を超える未払い賃金が発生していました。超長時間過密労働と、ずさんな労務管理のためです。
 Sさんが働いていた店舗には、2人しか人員が居らず休憩をとる余裕はまったくありませんでした。法律では8時間以上の労働に対しては1時間以上の休憩をとらせなくてはならないと定められています。上記のような実態は完全に違法です。また、1日10時間ほどの長時間労働が常態化していました。この他に、月に数回の勉強会や練習が、仕事終わりや休みの日に入ります。
 このような長時間過密労働にも拘らず、賃金は適切に支払われていませんでした。まず、実態としてはとれていない休憩時間分の給料が引かれていました。また、朝の開店前の準備の時間と残業分の賃金、勉強会への賃金が支払われていませんでした。業務に伴って発生する労働時間には、すべて賃金が支払われなければなりません。実態としてはとれていない休憩時間分の賃金が引かれることは違法です。また、準備時間や残業に対してはもちろん、勉強会や練習もそれが実質的には義務となっている限り、賃金を支払わなければ違法となります。勉強会や練習は義務となっていたためこれも違法です。


会社側のずさんすぎる主張
――「タイムカードの記録が実際の労働時間とは限らない」「準備時間には賃金を支払わなくてよい」??

 美容師・理容師ユニオンはこのような未払い賃金の支払いを求めて現在当社と交渉していますが、当社はずさんな主張をするばかりで未払い賃金の存在を認めようとしません。
 実は当社にはタイムカードが設置されており、朝の準備時間と残業時間の記録があります。しかし当社は交渉の中で、「タイムカードの記録が実際の労働時間とは限らない」と主張をし、タイムカードの記録に従った未払い賃金の支払いを拒否しています。何のためのタイムカードなのでしょうか。また、朝の準備時間については、「開店前に出勤するのは当たり前だが、準備時間には賃金は支払わなくともよい」と、こちらも労働法を無視した滅茶苦茶な主張を展開しています。
 さらに残業時間については、「別途残業時間を記録する欄があるためそちらを参照する」といいます。確かにタイムカードの記録以外に、残業時間を申請する欄があることは確かです。Sさんも当初はこちらに記録していたのですが、ある時当社の店舗運営を任されているマネージャーから「残業の記録をするな」と言われ、記録することができなくなりました。したがって、美容師・理容師ユニオンは、タイムカードに沿った未払い賃金の支払いを求めています。

美容師・理容師ユニオンへご相談を
 わずか1年の勤続にも拘らず、Sさんには60万円を超える未払い賃金が発生しています。しかし、このような実態はSさんだけのものではありません。練習時間や後輩の指導といったサービス残業が常態化している実態は美容師にとって当たり前のものであり、このような過酷な実態ゆえ、美容師の離職率は3年以内で80%と言われています。
 美容師・理容師ユニオンは、美容師業界を守るためにも、このようなブラックな業界の改善を目指しています。未払い賃金を取り返したい、美容師・理容師業界を変えたい、そう感じている方はぜひ美容師・理容師ユニオンに連絡してください。


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